あなたが悪いんじゃない。職場に潜む“マイクロアグレッション”とは? |コラム|ワクプレfit

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あなたが悪いんじゃない。職場に潜む“マイクロアグレッション”とは?

あなたが悪いんじゃない。職場に潜む“マイクロアグレッション”とは? | ライフ

「そんなつもりじゃなかった」と言われても、なぜか心に引っかかる——。
それは「マイクロアグレッション」と呼ばれる、職場での“見えにくい攻撃”かもしれません。
本記事では、マイクロアグレッションの意味や具体例、心がすり減らないための対処法まで、やさしく丁寧に解説します。
あなたの違和感、見逃さないでください。

1. 「マイクロアグレッション」ってなに?

「マイクロアグレッション(microaggression)」とは、無意識に人を傷つける小さな言動を指す言葉。
差別や攻撃というと、大げさに聞こえるかもしれませんが、実際はとても身近に存在します。

たとえばこんな言葉、職場で聞いたことはありませんか?

  • 「若いのにちゃんとしてるね」

  • 「君って見た目のわりにしっかりしてるね」

  • 「この仕事、女性には難しいんじゃない?」

  • 派遣社員には「いつも助かってます」、正社員には「さすがですね」

これらの発言に悪意はないかもしれません。でも、受け取る側は「年齢や性別で判断された」「自分だけ軽んじられている」と感じ、深く傷つくことがあります。

マイクロアグレッションは、相手の属性や立場を無意識に“下”に見てしまうことで起こるのです。

2. どうして「そんなつもりじゃない」が人を傷つけるのか?

マイクロアグレッションがやっかいなのは、発言した本人に自覚がない場合が多いこと。
「褒めたつもり」「気遣いのつもり」「冗談のつもり」でも、そこには次のような“前提”が隠れていることがあります。

  • 性別による固定観念(例:「女性は気配りが得意」)

  • 年齢へのステレオタイプ(例:「若い=未熟」「年配=保守的」)

  • 雇用形態による上下意識(例:「非正規=責任が軽い」「正社員=正当な働き手」)

こうした思い込みがふとした言動に表れ、「悪気はないけど刺さる」結果になってしまうのです。

さらに、マイクロアグレッションは繰り返されることで精神的に大きなダメージを与えます。
毎日少しずつ、「自分は軽視されている」「正当に扱われていない」という思いが積み重なり、自信を失ってしまう人も少なくありません。

3. 被害にあっても「気にしすぎ」と言われてしまう

マイクロアグレッションの被害者は、「そんなことで傷つくなんて」と軽視されがちです。

しかし、「嫌だ」と感じたことには、必ず理由があります。

たとえば、

  • 「正社員には敬語なのに、自分にはタメ口」

  • 「私だけ報告が後回しにされる」

  • 「意見を出しても流されるのに、別の人が同じことを言うと通る」

こうした小さな不平等が、繰り返されると心をむしばんでいきます。

大切なのは、「自分が悪いわけではない」と認識すること。
感じた違和感にフタをせず、自分の感覚を信じることが第一歩です。

4. マイクロアグレッションにどう向き合えばいい?


マイクロアグレッションには明確な加害者がいないことも多く、直接指摘するのが難しいケースも少なくありません。
それでも、次のような方法で“心を守る”ことができます。

自分の感情にラベルをつける

「これは見下された気がする」「扱いが不公平だと感じた」——こうして感情に名前をつけるだけでも、冷静になれます。

境界線を持つ

すべてに反応する必要はありません。
「これは受け入れない」と自分の中で線引きをするだけで、心の余裕が生まれます。

信頼できる人に話す

一人で抱え込まず、モヤモヤした気持ちは誰かに話しましょう。
共感してくれる相手がいるだけで、心は軽くなります。

記録を残す

同じことが繰り返された場合に備えて、日時や状況をメモしておくのもおすすめです。
証拠として役立つ場面もあります。

5. 加害者にならないために、できること

マイクロアグレッションは、意図せずに誰でも加害者になってしまう可能性があります。

だからこそ、普段から「相手の立場」に立った言葉選びを心がけたいものです。

たとえば…

  • 「若いのにすごいね」 → 「いつも丁寧に仕事されてますね」

  • 「女性なのにしっかりしてる」 → 「とても安心感があります」

  • 「非正規なのに責任感あるね」 → 「頼りにしてます」

相手の“属性”ではなく、“行動”や“姿勢”に注目して評価する。
これだけで、コミュニケーションの質は大きく変わります。

まとめ

マイクロアグレッションは、誰の職場にもひそむ“見えない攻撃”です。
まずは「自分は悪くない」と認めることから、心を守る行動を始めてみましょう。
小さな違和感を、無視しないでくださいね。