近年、多くの企業で深刻化している「人材不足」。

かつては即戦力を柔軟に確保できる手段として重宝されていた派遣社員の採用においても、「応募が集まらない」「なかなか人が定着しない」といった声が増えています。

では、なぜ今、派遣業界でも人材が集まりにくくなっているのでしょうか。
本記事では、派遣の人材不足が進む背景と、企業側が今取るべき3つの対策を詳しく解説します。

1．人材が集まらない3つの背景

（1）労働人口の減少と派遣市場の競争激化

日本では少子高齢化により、労働人口（15～64歳）の減少が続いています。
特に20～40代の働き手が減っており、製造業やコールセンター、事務職などの派遣スタッフのニーズは高まる一方で、供給が追いつかない状況です。

さらに近年は、同じ人材を「正社員」「アルバイト」「業務委託」など、さまざまな雇用形態で取り合う構図が生まれ、求人競争が激化しています。

（2）派遣という働き方への意識変化

かつては「派遣＝柔軟に働ける」「家庭やプライベートを優先できる」という理由で人気でしたが、近年はコロナ禍を経て「安定」や「福利厚生」を求める傾向が強まりました。

その結果、「派遣よりも直接雇用で働きたい」という層が増え、派遣離れが進んでいるともいわれています。
また、リモートワーク普及によって都市部に出なくても働ける選択肢が増えたことも、派遣市場に影響を与えています。

（3）ミスマッチによる早期離職

派遣の現場では「条件は合っていたのにすぐ辞めてしまう」というケースも少なくありません。
原因の多くは、仕事内容や職場環境のギャップ、教育体制の不足です。

このようなマッチング精度の低さは、人材不足に拍車をかける要因のひとつとなっています。

2．人材不足を乗り越える3つの対策

（1）求人内容・働き方の見直しで応募者に選ばれる環境を作る

まず重要なのは、企業側が働き方や雇用条件そのものを見直すことです。

例えば、

といった柔軟な働き方や待遇を整えることで、応募者に「ここで働きたい」と思わせる環境を作ることができます。

さらに、求人票や募集要項には職場の雰囲気やスタッフの声などのリアル情報を掲載することで、安心感を与えられます。
スマホ検索が主流の現代では、タイトルや冒頭文に「未経験歓迎」「在宅OK」「短期可」などのキーワードを盛り込むことも有効です。

（2）スタッフの定着支援を強化する

求人票や雇用形態を見直してせっかく採用しても、すぐに離職してしまうと採用コストが無駄になります。
定着率を上げるには、次のようなサポートが有効です。

特に、スタッフが「自分の成長や状況を見てもらえている」と感じられる環境は、モチベーション維持と長期就業につながります。

（3）デジタル活用による採用効率化

人材不足の時代には、スピーディーな対応も鍵です。
求人媒体への掲載だけでなく、

といったデジタル採用ツールを取り入れることで、応募から面談までのスピードが向上し、応募者の離脱を防ぐことができます。

3．派遣人材の確保には“企業姿勢”も問われる

人材不足の根本的な解決には、「人を大切にする姿勢」を企業が示すことが欠かせません。
短期的な採用施策だけでなく、

といった取り組みが、結果的に「この職場で働きたい」と思ってもらえる最大の対策になります。

まとめ

派遣でも人材が集まらない今、企業には「選ばれる職場づくり」と「スピーディーな採用対応」の両立が求められています。

求人情報の発信内容を見直し、フォロー体制を整え、デジタルツールで採用効率を上げることが、派遣人材不足を乗り越える近道です。

人材の“量”だけでなく、“質”と“つながり”を意識した採用・定着の仕組みを整えることが、これからの企業に求められる姿勢といえるでしょう。