社員が黙って心を閉ざすとき。“サイレント退職”を職場で防ぐには? |コラム|ワクプレfit

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社員が黙って心を閉ざすとき。“サイレント退職”を職場で防ぐには?

社員が黙って心を閉ざすとき。“サイレント退職”を職場で防ぐには? | ワーク

最近、職場で「静かに辞めていく人」が増えていると感じたことはありませんか?
それは“サイレント退職(静かな退職)”と呼ばれる現象かもしれません。
表面上は働き続けているようで、心はすでに離れている――。

今回は、この静かな退職がなぜ起こるのか、その背景や企業側の課題、そして防ぐためのヒントを解説します。

サイレント退職とは?表面化しづらい“心の退職”

サイレント退職(Quiet Quitting)とは、文字どおり「静かに仕事をやめる」こと。
とはいえ実際に辞表を出すわけではなく、以下のような行動に現れます。

  • 求められた最低限の業務しかしない

  • 残業や追加業務を断る

  • 提案や改善活動などの“プラスα”をしなくなる

  • 明らかに熱意が感じられない

これは“退職”というより「心が会社から離れた状態」に近く、上司や同僚もなかなか気づきにくいのが特徴です。

サイレント退職が起こる職場の共通点

では、なぜ人はサイレント退職に至るのでしょうか?
実は、多くの職場に共通する「構造的な問題」が背景にあります。

1. 評価と報酬が見合っていない

努力しても昇給や昇格が望めず、「頑張っても意味がない」と感じてしまう。
やがて、社員は“やる気の節約”を始めるようになります。

2. コミュニケーション不足

上司との信頼関係が築けず、気軽に相談できない環境は孤独感を招きます。
相談しても改善されない、意見が無視されるといった経験が、心を閉ざす原因に。

3. ワークライフバランスの軽視

過剰な残業や休日出勤が常態化している職場では、心身の疲労が蓄積しやすくなります。
家庭や自分の時間が奪われることで、会社への帰属意識が薄れていきます。

4. 仕事に意味を感じられない

「この仕事は何の役に立っているのか」「自分がやらなくてもいいのでは?」と感じるようになると、モチベーションは急速に低下します。

サイレント退職は“悪”なのか?

サイレント退職は、一見すると「やる気のない社員」の問題に見えますが、そうとは限りません。

多くの場合、それは“自分を守るための防衛策”です。
過剰な期待、際限のない業務、評価されない成果――。
こうした環境が続けば、誰でも燃え尽きてしまいます。

むしろ、サイレント退職に至るまで我慢して働いていたということは、社員の誠実さの表れとも言えます。
問題は、そうした社員のサインを見逃してしまう職場環境にあるのです。

サイレント退職を防ぐために企業ができること


静かに辞めていく人を生まないためには、企業側の姿勢と仕組みづくりがカギとなります。

1. 定期的な1on1ミーティング

形式的な面談ではなく、率直な意見交換ができる場を設けましょう。
日頃の不満や疑問を安心して話せる空気づくりが重要です。

2. 成果を“見える化”して評価する

仕事の成果を数字や行動で可視化し、正当に評価する制度を整えることで、努力が報われる環境を作れます。

3. 柔軟な働き方の導入

リモートワーク、時差出勤、時短勤務など、社員のライフスタイルに合った働き方を選べるようにすると、働くモチベーションが高まります。

4. エンゲージメント向上施策の実施

社員同士のつながりを強化するチームビルディングや、会社のビジョンを共有する機会を増やすことで、組織に対する愛着や共感を育てられます。

「辞める前に話す」文化が育つ職場へ

サイレント退職が問題なのは、「気づいたときには手遅れ」になりやすい点にあります。
表面上は変わらず出社していても、心のエンジンはもう止まっている――。

そんな事態を防ぐには、「辞める前に本音を話せる文化」を育てることが必要です。

  • 部下の些細な変化に気づく観察力

  • 批判されずに話せる心理的安全性

  • 意見や不満を受け止める“傾聴”の姿勢

これらが揃って初めて、社員の本音が引き出され、サイレント退職を未然に防ぐことができるのです。

まとめ

サイレント退職は、社員の心の叫びです。
企業はそれを無視せず、働きやすい環境づくりを意識することが重要です。
ぜひ明日から、職場での対話を見直してみてください。