派遣切りされる理由とは?違法性や5つの対処法をわかりやすく解説します |コラム|ワクプレfit

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派遣切りされる理由とは?違法性や5つの対処法をわかりやすく解説します

派遣切りされる理由とは?違法性や5つの対処法をわかりやすく解説します | 派遣の基礎知識

2008年のリーマンショックの影響で広く知られるようになった「派遣切り」ですが、近年ではコロナウイルス感染症により耳にする機会が増えました。たとえ派遣社員が働き続けることを希望していても、企業側の都合により派遣切りされることがありますので、将来に不安を感じる人も多いでしょう。

この記事では、派遣切りについてわかりやすく解説します。
派遣社員の働き方に興味をお持ちの方は、派遣切りをされる理由や対処法について理解を深めておきましょう。

派遣切りとは?

派遣切りとは、派遣元である派遣会社との派遣先企業の間で締結した「労働者派遣契約」を解約することです。派遣社員の意思とは関係なく行われるため、続けたいと思っていた仕事ができなくなってしまうことは珍しくありません。

派遣切りによって、派遣社員が仕事を続けられなくなるケースには、以下の2パターンがあります。

  • ケース①派遣会社から解雇されるケース

派遣会社と派遣先の労働者派遣契約の途中解除が生じ、その結果、派遣会社側からも解雇される。

  • ケース②同じ派遣先で働き続けることができなくなるケース

派遣先が派遣会社と労働者派遣契約を解約したことで契約期間満了後の契約期間が更新されず、同じ派遣先で働き続けることができなくなる。

もしも派遣切りされたことで派遣先の企業との契約が切れたとしても、基本的には派遣会社から次の派遣先を紹介してもらうことが可能です。
しかし、場合によっては「ケース①」のように同じ派遣会社で働き続けられなくなることもあります。

 

派遣切りされる理由とは?

派遣切りとは、どのような理由で行われるのでしょうか。
ここからは、派遣切りされる3つの理由についてご紹介します。

1:派遣社員の勤務態度が悪いため

派遣社員の勤務態度によっては、派遣切りされる可能性があります。たとえば、「無断欠勤や遅刻が多い」や「上司の指示を全く聞かない」などの理由が挙げられます。
また、多くの場合派遣社員には即戦力が求められるため、スキルが著しく不足していることで派遣切りの対象となるかもしれません。

2:派遣先企業の経営状況が悪いため

派遣切りは派遣先の企業が経営不振に陥り、経済的な負担を減らすために行われることがあります。
この際、人件費削減の一環として、非正規雇用者である派遣社員から雇用契約を解除することがあります。

3:派遣3年ルールを避けるため

労働者派遣法より派遣社員には、「同じ派遣先の同じ部署で原則3年以上は働けない」という3年ルールが定められています。
3年経ったあとは、「直接雇用」や「部署異動」の選択肢もありますがリスクやコストが伴うため、3年を目処に派遣切りが行われることが一般的です。

 

派遣切りは違法ではないの?

 

 

 

 

 

 

 

派遣社員の方々が、企業側の都合によって仕事が続けられなくなる状況に直面すると、「派遣切りは違法なのでは?」と疑問が生じるかもしれません。
派遣切りには下記の2点のようなルールが存在し、守らなければ違法となる可能性もあります。

1:契約解除の申し入れがない

労働基準法第20条により、雇用形態に関わらず解雇予定日の30日以上前に予告する必要があると定められています。そのため、「契約解除について話がなかった」「更新の有無について説明がない」という場合は、違法と判断される可能性があるでしょう。
また、解雇予定ができない場合は、30日分以上の賃金の支給が必要となるため「解雇予定手当」が支払われます。

2:理由が合理的ではない

本人の勤務態度が悪かったり業務に必要な能力がなかったりする場合には、派遣切りされる可能性があります。
しかし、派遣切りをするためには「合理的な理由」が必要なため、理由によっては認められないこともあります。たとえば、これまでに注意や指摘がないのにもかかわらず、「少し仕事が遅い」「協調性がない」などの理由は正当とはいえないでしょう。

 

派遣切りされたらどうする?5つの対処法

 

 

 

 

 

 

 

ここからは、派遣切りされたときの対処法を5つご紹介します。

1:派遣会社に相談する

派遣先の企業から派遣切りをされたときは、まず雇用主である派遣会社に相談しましょう。
基本的には派遣会社から次の派遣先を紹介してもらえますので、次の仕事が決まるように準備を進めましょう。

2:休業手当をもらう

通常、派遣社員のような「期間の定めのある労働契約」は特別な事情がない限り、契約期間中に解約はできません。

しかし、派遣会社と派遣先の労働者派遣契約の途中解除が起こってしまい、それに伴って派遣会社からも解雇された場合は、派遣会社から休業手当が支払われます。
仮に契約期間の途中に派遣先の事情で解約となった場合は、労働基準法第26条により「給与の60%以上の休業手当が支払われる」ことが定められています。契約期間満了日までは派遣元から休業手当を受け取りましょう。

3:失業保険の手続きをする

派遣切りをされた場合、条件を満たしていれば失業手当の支給対象者となります。ただし、退職理由や年齢、雇用保険被保険者期間によって、支給額や支給されるタイミングに差が生じるでしょう。

特に、支給されるタイミングは「自己都合の退職」または「会社の都合の退職」かどうかによって変わります。

基本的に、企業の都合による派遣切りは「会社都合退職」となりますが、仕事を紹介されても断ったという場合は、自己都合退職となる可能性があることを覚えておきましょう。失業手当の受給についてはハローワークで聞くことができます。

4:新しい派遣会社を探す

納得のいかない派遣切りをされた場合は、信頼できる派遣会社に登録することも一つの選択肢です。
経営が安定している大手派遣会社の場合、紹介してもらえる派遣先の数が豊富にあることが特徴です。また、信頼できる派遣先も多いため、安心して働き続けられる可能性も上がるでしょう。

 

新しい職場を探す際は必要な資格やスキルを取得しておくことで、採用時にも現場でも役立ちます。派遣切りを避けたいという場合は、正社員や無期雇用への転換を目指しましょう。

5:弁護士に相談する

派遣先の企業の対応に納得できないときや、派遣会社が対応してくれない場合は、弁護士に相談するとよいでしょう。
特に、派遣切りの理由は合理性や妥当性の判断が難しいため、専門知識を持った方のアドバイスが必要になるかもしれません。派遣切りについて悩んだときは、「法テラス」「総合労働相談コーナー」への相談を検討してみましょう。

まとめ

派遣社員として働き続けたいという意向があっても、派遣先の企業の事情により派遣切りの対象となってしまうことがあります。派遣社員が不利な状況にならないようにする法律もありますが、自分でも派遣切りについて理解しておくことが大切です。
派遣切りが起こり得る状況を知り、派遣切りのリスクや適切な対処法について考えておきましょう。